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LLPは登記されますので、登記事項を確認すれば誰が組合員かを容易に確認できますし、法13条3項により、各組合員の業務執行権限を内部的に制限しても、それを知らない第三者には対抗できないとされ、契約の相手方は保護されます。
これによって、民法上の組合では組合名義で行為することが認められていないような法律行為も、LLP名義で行為することを許容しやすい環境が整うことは確かです。 たとえば、組合員の肩書き付き名義や組合代表者名義ではなくLLP名義による銀行口座の開設や、営利法人にしか認められていないJPドメイン名である.co.jpのLLPによる取得も、許容されるようになることが期待されます。
ただし、私人間での事業活動において、どこまでLLP名義での活動を許容するかは当事者間の裁量に委ねられます。 その意味で、LLPの社会経済的主体としての認知と、法的理解の一般的な深まりが、LLP名義での活動が可能な領域を拡張するために不可欠といえるでしょう。
(1)民法上の組合の場合民法上の組合が不動産を取得した場合、現在の不動産登記実務では、組合名義での登記が認められないため、組合員の共有登記にするか、組合代表者の(肩書きの付かない)単独所有登記にするか、いずれかを選択することになります。 これに対し、特別法に基づいて法人格を有する組合(たとえば、建物の区分所有等に関する法律に基づく管理組合法人、商店街振興組合法に基づく商店街振興組合、森林組合法に基づく森林組合等)については、組合名義での単独所有登記ができることとされています。
特許権等の知的財産権の登録についても同様の取扱いがなされています。 (2)LLPの場合LLPは、LLP法に基づく組合であり、民法上の組合ではありませんが、LLP法上、法人格を有することとはされていません。
このため、LLPが不動産を取得した場合、LLP名義で登記をすることは認められないと予想されます(共有物分割禁止の定めの登記に関する法74条は、LLP名義での登記をしないことを前提としています)。 しかし、法74条によれば、不動産に関する権利(所有権のほか、地上権、抵当権、賃借権等を含みます)がLLPの財産となったときには、共有物分割禁止の定めの登記をすることができるようになり、逆に共有物分割禁止の定めの登記をしなければ、清算前にその不動産に関する権利について、第三者(典型的には、組合員の債権者)に対して、共有物分割請求ができないことを主張できないとされました。

民法上の組合でも、組合契約中で、共有物分割禁止の特約をすることによって、その定めの登記をすることは可能でしょうが、民法上そのような特約は5年以内としなければなりません(民法256条1項)。 また、民法上の組合の場合、組合名義の登記が認められないかわりに、第三者への共有持分の処分・移転登記や各組合員の債権者による共有持分の差押を無効と解するのが一般的です。
これに対し、LLPの場合は、LLP契約の締結を原因として共有物分割禁止の定めの登記ができるので、その点では実体に即した登記をすることが可能になる一方、この登記をしなければ、第三者への共有持分の処分・移転登記や各組合員の債権者による共有持分の差押が有効となってしまうリスクをはらむことになりました。 したがって、一般論としては、LLPの事業の継続中に共有物分割請求がなされるリスクを回避するため、組合員の共有登記にした上で、共有物分割禁止の定めの登記をすべきことになります。
とりわけ、組合員に公開会社が含まれる場合には、株主に対する説明責任を果たすため、特段の事情がない限り、共有登記と共有物分割禁止の定めの登記をすべきでしょう。 なお、経産省FAQによれば、特許権等の知的財産権については、登録原簿において組合員の合有財産である旨を表示できるように要望している、とのことです。
LLPの訴訟における当事者能力(1)民法上の組合の場合個人や法人は、民事訴訟の当事者になることができますが、法人格のない民法上の組合が、民事訴訟の当事者になることができるか否か(訴訟当事者能力の有無)については、争いがあります。 民事訴訟法上は、法人格がない社団であっても、代表者の定めのあるものは、訴訟当事者能力があるとされています(同法29条)。
しかし、民法上の組合が「社団」といえるのか、また、民法上の組合について業務執行組合員を定めた場合には「代表者の定めがある」といえるのかについて、社団と組合とを峻別するか否かに関する概念論的、社会学的又は政策・制度論的な考え方の違いに起因して、様々な解釈があります。 裁判例でも、代表者の定めがある民法上の組合に民事訴訟の当事者となる資格を認めたものがありますが、組合員間の関係の実態にかかわらず、代表者または業務執行組合員の定めさえあれば民事訴訟の当事者となれるのかどうかははっきりしません。
学説上は、民法上の組合について訴訟当事者能力を認めないのがかつての通説的見解でした。 しかし、現在ではこれを認める見解が有力なようです。

(2)LLPの場合LLPには、法人格が認められていませんので、民法上の組合と同様、民事訴訟法29条の適用の有無が問題となります。 法21条は、債務名義、仮差押命令または仮処分命令において、LLPが当事者として表示されることがあり得ることを前提とした規定になっていますが、これが、訴訟当事者能力を有するLLPが存在するという理解に立つものなのか、それとも、代表者がLLPを代表して訴訟追行した場合に任意的訴訟担当として扱うことを確認したものなのかははっきりしませんし、また、仮に前者だとしても、すべてのLLPに訴訟当事者能力を認めることを促そうとする趣旨であるのか、明確ではありません。
LLPでは、組合員が、組合の業務執行の全部を他の組合員に委任することは許されていません。 このため、民法上の組合については可能な、業務執行の一切を業務執行組合員に委任するという仕組みを採用することはできません。
しかし、このことは、LLPには民事訴訟法29条にいう「代表者」を置くことができない、ということを意味するわけではありません。 LLPを対外的に代表することも業務執行の一部であるとはいえ、それが業務執行の全部ではありませんし、対外的な代表権と業務執行とは関連するとはいえ別の概念ですから、株式会社において、代表執行役とその他の執行役を置き、代表執行役に代表権限を付与しつつ他の執行役もそれぞれ一定の業務執行を担当するという仕組みが可能であるように、LLPにおいても、一人の組合員を代表者として対外的にLLPを代表する権限(それを代表取締役のように広範な代表権限とするか否かはLLP契約の内容によります)を付与しつつ他の組合員もそれぞれ一定の業務執行を担当するという仕組みは可能です。
実際に、民法上の組合と理解されている建設工事のJVでは、代表者を置きつつ他の構成員も業務執行を行うという形態をとっています。 新会社法で導入される合同会社は、内部の統治機構を自由に設計できる法人で、LLPと実質的に法人格の有無以外に相違するところのない団体を設計することが可能になります。

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